<第十回>
宇宙航空研究開発機構 SELENEプロジェクトチーム
主任開発員 小西 久弘

 「かぐや」が打ち上がって11ヶ月たちました。様々な月に関する観測データを地球に伝送しながら、「かぐや」は日々過ごしています。これらの作業は、全て自動で実施しているように思われるかもしれませんが、地球からの支援がなくてはならないものです。

地球から支援を行うためには、まず、「かぐや」が、どの位置にいるかを知る必要があります。位置を把握できたら、通信するための地球局のアンテナを向け、ようやく、「かぐや」の状態を把握することができます。

次に、「かぐや」で観測データを取得するために、観測するのに必要な姿勢制御系、通信系などの計画立案及び観測機器の計画立案をおこない、作成した計画をコマンドとして地球から送信し、「かぐや」を動作させます。その結果、得られた観測データを伝送し、地球局で受信し、解析をおこなっています。

このような、作業はたくさんの人たちで分担して、実施しており、どの作業がなくてもならない作業です。「かぐや」が月からの様々な観測データを伝送してきているのは、地球で日々多数の人たちが休まず仕事を続けている努力の賜物です。

私は、この地球からの支援に関わる作業を今は実施しています。「かぐや」が打ち上がる前には、どのように月まで「かぐや」を導いていくのかやどうやれば月に関する観測データを収集し、地球に伝送できるのかを考えてきました。また、「かぐや」に搭載されているデータ処理系の開発も行いました。打ち上がった後に、予定通り作業が進んでいった時や予定通りに機器が動作した時は非常に充実感がありました。

これからも、月からの観測データを伝送するために、日々努力を続けていきます。驚くほどのデータが集まることを期待していてください。

2008年8月