蛍光X線分光計(XRS)
観測機器概要

XRSの科学目標

月面のほぼ全域に対する表層物質の主要元素(Mg、Al、Si、Ca、Ti、Fe、etc.)組成を定量的、かつ高い空間分解能(<20km)で観測します。月面の地形・地質構造に対応する岩石タイプの決定、元素組成の地域変化とその系統性などを詳細に調べます。 =>月地殻の形成・進化の研究を通して、月の起源や進化を解明するための基礎情報を得ます

XRSの諸元
  XRF-A
Lunar XRF Detector
SOL-B
Solar X-ray Monitor
SOL-C
XRF Calibrator
検出器
Detector
CCD x 16枚 SiPINダイオード x 2枚 CCD x 1枚
センサ有効面積
Detection Area
100 cm2 ピンホール大 6 cm2
視野角
Field of View
12 x 12 deg 180 x 90 deg 180 x 90 deg
空間分解能
Footprint Resolution
20km (@高度100km)
検出帯域
Energy Range
0.7 -10KeV 1 -20KeV 0.7 -10KeV
エネルギー分解能
Energy Resolution
<180eV
(@-50degC, Fe55)
<500eV
(@Fe55)
<160eV
(@-50degC, Fe55)
動作温度
Operating Temperature
< -40degC < 0degC < -40degC
ADC 12bit 8bit 12bit
データ形式
Mission Packet
EVENT, SPCTR
CHECK, IMAGE
PIN-HIST, CAL EVENT, SPCTR
CHECK, IMAGE
XRS-E XRF-A SOL-BC XRF-A


観測の原理

太陽X線を利用した遠隔蛍光X線(XRF)分析

  • 太陽X線が月面に照射することによって、月の表面からは構成元素に固有なエネルギーをもつX線(蛍光X線)が励起されます。
  • 蛍光X線を周回衛星から観測、分析することで、表面の構成元素を特定します。
  • 時間変動する太陽X線の同時モニタ観測は必須で、それによりさらに高精度の定量分析を実現します。

検出できる主要元素:Mg, Al, Si(太陽フレア発生時: Mg, Al, Si, Ca, Ti, Fe)

分析図


期待される成果

月地殻の元素分布と岩石タイプの決定

=>「かぐや」/XRSではほぼ全球(極域を除く約90%)、最高分解能br(<20km)での探査
XRF-A(月面観測センサ)
=>CCD16枚の同時駆動で広い検出面積を達成
SOL-B&C(太陽X線モニタ)
=>標準試料法、直接モニタ法による元素定量分析
XRS/GRSで期待される元素分布
  XRS GRS
Mg/Si < 10km < 50km
Al/Si < 10km < 50km
Fe/Si △(< 10km) < 30km
Mg# △(< 10km) < 50km
Ti/Si △(< 20km) < 50km
Ca/Si △(< 20km) < 50km
K-Na-Ca   < 100km
Th, U, K
Volatile/Refractory
N/A < 30km
< 30km

地上試験結果SOL-B

SOL-C


PI紹介
XRS 加藤 學 Manabu Kato

加藤 學
Manabu Kato


宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
固体惑星科学研究系