地形カメラ(TC)・マルチバンドイメージャ(MI)・スペクトルプロファイラ(SP)
観測機器概要

 「かぐや」には、月の起源と進化の研究や、月の利用の可能性の調査に大きな威力を発揮する、TC・MI・SPという3つの光学機器が搭載されています。

1. 地形カメラ(TC)
高解像度で月面を立体視する。


2. マルチバンドイメージャ(MI)
可視近赤外域の多色撮像を行う。


3. スペクトルプロファイラ(SP)
可視近赤外域の連続分光を行う。
3つの光学機器
TC/MI フライトモデル
TCフライトモデル MIフライトモデル
SP フライトモデル
SPフライトモデル

LISM諸元
  TC MI SP
空間分解能@100 km
Spatial resolution
10m VIS: 20 m、NIR 62m 562×400 m
視野
Field of view
Full mode:22.4°
Nominal mode:19.3°
Half mode:9.65°
VIS:11°(19.3km)
NIR:11.2°(19.6km)
0.23°
分光方式
Spectroscopic method
バンドパスフィルタ
Bandpass filter
バンドパスフィルタ
Bandpass filter
回折格子
Diffraction grating
バンド数
Number of bands
2(立体視)
Stereo
VIS:5 NIR:4 296
波長幅
Band width
420 nm 10-50 nm 6-8 nm
波長域
Wavelength
0.43-0.85μm VIS: 0.415、0.75、0.9
0.95、1.0μm
NIR: 1.0、1.05、1.25,
1.55μm
VIS: 0.52-0.96 μm
NIR1: 0.9-1.7μm
NIR2: 1.7-2.6μm


観測の原理

 TCとMIはプッシュブルーム方式により月面の連続撮像を行います。TCは立体視を行うために、1次元センサを付けた2つのカメラをそれぞれ斜め前方と斜め後方に向けています。MIは異なる9つの波長で月面を撮影するために、フィルタを貼った2種類の2次元検出器をつけたカメラ2つを直下視方向に向けています。 SPは衛星直下の月面を観測する分光計で、回折格子を用いて月面からの光を296個の波長に分割します。

TC MI SP


期待される成果

 これらにより、初めて月全球の詳細な地形および地質/鉱物分布データを取得します。これによって、特に興味深い場所(例えば、大クレータの底から突き出た中央丘という傾斜地など)において、これまでわからなかった岩石分布を精度よく求めることができます。

LISMはこれまでの衛星で得られたデータに比べ、以下の点で優れています。

  1. 一桁高い空間分解能で地形を観測し、さらに立体視で3次元的にも地形を把握します。
  2. 一桁高い空間分解能でこれまで観測できていなかった波長(色)の多色画像を取得し、地質情報を得ます。
  3. 過去の月探査機にない連続分光観測により、月面に存在する鉱物の種類がわかります。
LISM

PI紹介
TC 春山 純一 Jun'ichi Haruyama

春山 純一
Jun'ichi Haruyama


宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
固体惑星科学研究系

地形カメラがとらえた「ナガオカクレータ」の画像公開にあたって


MI 大竹 真紀子 Makiko Ohtake

大竹 真紀子
Makiko Ohtake


宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
固体惑星科学研究系


SP 松永 恒雄 Tuneo Matunaga

松永 恒雄
Tuneo Matunaga


独立行政法人国立環境研究所
地球環境研究センター
地球環境データベース推進室