粒子線計測器(CPS)
観測機器概要

粒子線計測器

α(アルファ)線検出器(ARD)は、月の進化や月表面の短期変動の手がかりとなるRn(ラドン)分布を調べます。粒子線検出器(PS)は、人類が月、火星、宇宙へと進出して行く時に脅威となる宇宙線による放射線環境を調べ、宇宙における放射線の予報(宇宙天気)を行うための基礎となるデータを取得します。

PS
粒子線計測器
ARD
粒子線計測器

ARDとPS検出器には、非常に高精度のシリコン半導体検出器で構成されています。さまざまな厚さのシリコン検出器を何枚も重ねてエネルギーの高い粒子から低い粒子までを検出することができます。さらに、粒子が酸素なのか鉄なのか、ということも特定することができます。



観測の原理
  1. 銀河宇宙線(~陽子)が月面に入射し中性子が発生します。
  2. 中性子が月の物質と反応し、元素に固有のエネルギーを持つガンマ線が発生し、また天然放射性元素からもガンマ線が発生します。
  3. ガンマ線を周回衛星から観測し、月面の物質組成を特定します。
観測の原理



期待される成果

CPS

RnとPoのARD観測シミュレーション結果
RnとPoのARD観測シミュレーション結果
ARD
Rnの分布を計ることにより、月の表面における地殻の変動を知ることができます。また、Rnは気体であることより多量に分布する、あるいは大きな時間変動が観測されれば、ガスの放出場所を特定できるかもしれません。ガスの放出場所ではRn以外の気体放出も期待でき、月面での活動に利用できる可能性があります。
PS
月周辺における宇宙放射線環境の観測は詳細に行われたものはなく、近い将来、人類が月面で活動する際には欠かせない基礎データになるでしょう。地球のように磁場に守られていない月において、宇宙放射線の量を日々予報していくことは欠かせないことであり、予報精度をあげることに重要な役割を果たすでしょう。




PI紹介
CPS 高島 健 Takeshi Takashima

高島 健
Takeshi Takashima


宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究本部
宇宙プラズマ研究系