子衛星を使った月重力場探査(RSAT,VRAD)
観測機器概要

 月の場所ごとの重力分布が分かると、重いものが地下にあるかどうかなどがわかります。その結果から、その場所がどのように形成されたのかがわかり、月の進化の情報が得られます。

リレー衛星による月裏側4wayドプラ計測 /RSAT(Relay SATellite)

 「表」「裏」という言い方があるように、地球からは月はその一方しか見る事ができません。RSATは世界で初めて裏側の重力場を直接測定します。

VLBI電波源/VRAD(VLBI RADio source)

  相対VLBIという手法により子衛星が発する電波を追跡して軌道を正確に決定し、重力場の精度を高めます。特に月の縁で威力を発揮します。

リレー衛星全景
リレー衛星全景
サイズ
Dimension
1m×1m×0.65m
質量
Mass
45kg
発生電力
Power
70W


観測の原理

衛星・アンテナの組み合わせで観測を切り替えます

RSAT
 主衛星が月の裏側にいる間にリレー衛星が臼田局からのアップリンク信号を周回衛星にリレーします。更に折り返して臼田局で受信し、ドプラ周波数を計測します。
RSAT:リレー衛星による月裏側4wayドプラ計測

RSAT:リレー衛星による月裏側4wayドプラ計測

VRAD
 2つの子衛星に搭載された電波源からの電波を国立天文台(NAOJ)のVERA(ベラ)などの地上望遠鏡で受信します。
VRAD:衛星電波源の相対VLBI観測 RS:月電離層観測

VRAD:衛星電波源の相対VLBI観測

RS:月電離層観測

VLBI地上観測局の配置
VLBI地上観測局の配置


期待される成果

 月の裏側は地球から見えないため、これまでは月の裏側でのドプラ計測ができませんでした。「かぐや」ではリレー衛星を使ってこの困難を克服します。RSAT観測がない場合(左)と比べて、観測がある場合(右)の月裏側のジオイド高の誤差が格段に改良します (Matsumoto, 2004)。

月裏側のジオイド高の誤差
球面調和展開係数の次数
重力場係数の誤差が、VRADにより低次数項で、RSATにより30次までの項で一桁以上改良します(Matsumoto et al.)。


アーカイブス

分離機構試験映像(Windows Media Video形式[2.87 MB]: 再生時間1分25秒)
リレー衛星 質量特性試験映像(Windows Media Video形式[4.98 MB]: 再生時間1分00秒)





PI紹介
RSAT 並木 則之 Noriyuki Namiki

並木 則行
Noriyuki Namiki


千葉工大
惑星探査研究センター
副所長


VRAD 花田 英夫 Hideo Hanada

花田 英夫
Hideo Hanada


自然科学研究機構 国立天文台
RISE月探査プロジェクト